2014年1月31日金曜日

標準ズームレンズと明るい単焦点レンズの写りの違いを検証してみる!


標準ズームレンズ付きの一眼レフを買っていろいろ撮影していると、もっと背景をぼかしたいという衝動に駆られます。

そして、背景がぼける明るい単焦点レンズを物色しだすのは、一眼レフ初心者なら誰もが通る道だと思います。自分もそうでした。

そこで標準ズームレンズと明るい単焦点レンズにどれ位の差があるか検証してみたいと思います。




少しだけ私の一眼レフ初心者時代の話をしましょう。
もう3年近く前の話になりますが、当時流行りだしたインスタグラムに、より綺麗な写真を載せたいと思い、一眼レフを購入しました。私が買ったのはNikonのD3100というカメラで18-55mmと55-300mmのレンズが付いているモデルです。

はじめて一眼レフで撮影に行ったのは海遊館という水族館で、ほとんど18-55mmのレンズで撮影しました。撮影後に海遊館の外で大道芸をやっていたので、レンズを55-300mmのレンズに替えて撮影しました。その時に思ったのが「レンズ交換面倒だな」でした。注意しなければ、レンズ交換をする際にマウントからセンサーにゴミが入るのも嫌でした。

私は考えました。「レンズ交換しなくていい高倍率ズームレンズを買えばいいんだ。」
迷走の始まりです。

そして私はヨドバシカメラでタムロンの18-270mmというレンズを買いました。いわゆる便利ズームというやつです。レンズ交換式カメラを否定する行動でした。

しばらく18-270mmのレンズを使っていると、自分があまり望遠を使わない事に気づきました。
「望遠は短くて良いから広角がもう少し写せるほうがいいな」

そしてNikonの16-85mmというレンズを買いました。行き当たりばったりでレンズを買っていました。
自分の撮影スタイルや趣向がわかっていなかったので、沢山のレンズを買って試しました。
もちろん背景をぼかしたくて35mmF1.8というレンズを買ったり、広角レンズを買ったり、魚眼レンズを買ったり、マクロレンズを買ったり、沢山投資しました。

このようにレンズ交換式カメラにはレンズ沼という物があります。

「明るいレンズを付ければ背景をもっとぼかせるんじゃないか!」

「広大な景色を一枚の写真におさめたいから、広角レンズを買おう!」

「花をクローズアップで撮りたいからマクロレンズを買おう!」

動機は様々ですが、レンズを買えば素晴らしい写真が撮れると錯覚してしまう訳です。


そこでこの企画です。標準ズームレンズはそんなにダメなのか。
明るい単焦点レンズと比較することで、どれくらい違いがあるのか、部分的に検証してみましょう。

企画自体はCanonのKiss X7の標準ズームレンズキットを買った方が、次に40mm F2.8を買うか、50mmF1.8を買うか悩んでいるというのをSNSを通じて知ったので、思い立ちました。

なので自分が持っている機材でその構成に近いレンズを選んで検証したいと思います。


用意した機材は
NikonD7000 APS-Cセンサー (フルサイズ換算係数×1.5)
【Canon Kiss X7 相当 (フルサイズ換算係数×1.6)】

NikonD800 フルサイズセンサー

レンズ
Nikon 16-85mm F3.5-5.6 APS-C用
【Canon 18-55mm STM 相当】

フォクトレンダー 40mm F2 フルサイズ用
【Canon 40mm F2.8 相当】

カールツァイス 50mm F1.4 フルサイズ用
【Canon 50mm F1.8 相当】

カールツァイス 50mm F2 ハーフマクロレンズ フルサイズ用

CanonとNikonではAPS-Cセンサーのサイズが違いますので、画角が同じというわけには行きませんが、そこはご容赦ください。


写真はすべて絞り優先モードで撮っています。

大きい写真が見たい場合は、PCバージョンにして画像をクリックするとフォト蔵に飛びますので、さらに画像をクリックすると大きい画像を選べます。スマホモードで見ている場合はページ下部に「ウェブバージョンを表示」というリンクがあるので、それをクリックしてPCバージョンにしてください。

それでは写真を見て検証していきましょう!


フォクトレンダー 40mm F2
フォクトレンダー 40mm f2.8
ISO感度100
露出時間1/2500 秒
絞りF2.8
焦点距離40 mm
焦点距離(35mm換算時)60 mm

Nikon16-85mm
標準ズームレンズ 40mm f3.8
ISO感度100
露出時間1/800 秒
絞りF4.8
焦点距離40 mm
焦点距離(35mm換算時)60 mm


公園のブランコを被写体にしたテストです。ピントは2つめのブランコに合わせています。

フォクトレンダー40mmはF2.8に絞っています。Canon40mm F2.8を検討されているので、それに合わせています。Nikon16-85mmは40mmに画角を合わせるとF値が可変なのでF4.8になりました。

フルサイズ換算はNikonだと60mmになります、Canonだと64mmでしょうか。Canonのボディで撮影すると、この写真より写る範囲がほんの少し狭くなります。

ブランコの1つ目のぼけ方はあまり大差が無いように思いますが、3つ目からぼけの量に差が出てきます、後方のフェンス辺りを見ると結構違いがあります。ただ極端にぼけの量が違うという印象は受けません。


カールツァイス 50mm F1.4
カールツァイス 50mm F1.8
ISO感度100
露出時間1/5000 秒
絞りF1.8
焦点距離50 mm
焦点距離(35mm換算時)75 mm

Nikon16-85mm
標準ズームレンズ 50mm f5
ISO感度100
露出時間1/800 秒
絞りF5.0
焦点距離50 mm
焦点距離(35mm換算時)75 mm


カールツァイス50mmはF1.8に絞っています。これもCanon50mm F1.8を検討されているので合わせています。Nikon16-85mmは50mmに画角を合わせるとF値がF5になりました。

これは比べるまでもなくカールツァイスのF1.8で撮影した方が、圧倒的にピント面以外のぼけの量が凄いです。シャッター速度もかなり違います。

F1.8で撮影した写真は被写界深度が浅いため、ブランコが浮き上がって見えます。こういう表現が出来るのがいいですよね。


フォクトレンダー40mmのF2.8で撮影したものと、カールツァイス50mm F1.8で撮影したものも比べてみてください。画角の違いはありますが、F2.8とF1.8ではぼけの量がかなり違う事がわかります。


次は近接撮影をしてみました。
被写体は高さ9cmほどのねんどろいど桜ミクです。

被写体以外が一番ぼけるのは、レンズの最短撮影距離で撮影して、背景が被写体と離れていればいるほどぼけます。ぼけの量を知るには良いテストだと思います。


フォクトレンダー 40mm F2
フォクトレンダー 40mm f2.8
ISO感度100
露出時間1/5000 秒
絞りF2.8
焦点距離40 mm
焦点距離(35mm換算時)60 mm

Nikon16-85mm
標準ズームレンズ 40mm f4.8
ISO感度100
露出時間1/1600 秒
絞りF4.8
焦点距離40 mm
焦点距離(35mm換算時)60 mm

フォクトレンダー40mmも16-85mmも最短撮影距離は0.38mです。ズームレンズの焦点距離を合わせましたが、最大撮影倍率の違いにより被写体が大きめに写ったり、小さめに写ったりします。
レンズを選ぶ場合はこのあたりのスペックも注意が必要です。

ねんどろいどの瞳にピントを合わせています。背景には工場がありますので、そのぼけの量を参考にしてください。16-85mmの方は建物の輪郭がなんとなくわかりますね。


カールツァイス 50mm F1.4
カールツァイス 50mm f1.8
ISO感度100
露出時間1/8000 秒
絞りF1.8
焦点距離50 mm
焦点距離(35mm換算時)75 mm

Nikon16-85mm
標準ズームレンズ 50mm f5
ISO感度100
露出時間1/1600 秒
絞りF5.0
焦点距離48 mm
焦点距離(35mm換算時)72 mm

カールツァイスの最短撮影距離は0.45mですが、最大撮影倍率が16-85mmより高いのでしょう。同じような大きさで撮影出来ました。16-85mmの方が48mmになってしまっているのもありますが...

今日は天気が良くてF1.8で撮影するとシャッター速度1/8000で最高速になりましたが、それでも露出オーバーになりました^^;

16-85mmとのぼけの量を比べるのが酷ですね。F1.8で撮影しているカールツァイスの方は背景がわからないぐらいぼけています。

ちなみにカールツァイス50mm F1.4というレンズはF値開放付近で撮影すると、ソフトフォーカスがかかったような描写になります。もちろんF値を絞っていくとソフトフォーカスはなくなってシャープな描写に変わって行くわけですが、単焦点レンズには個々にこういう特性があったりするので、選ぶ際はこういう点も考慮に入れなければいけません。

フォクトレンダー40mmのF2.8で撮影したものとカールツァイス50mmのF1.8で撮影したものを比べると、どちらも開放から少し絞っただけなのに、描写の違いに驚きます。
フォクトレンダーはF2.8で撮影しているとはいえ、ピント面も比較的にシャープでぼけもなだらかです。対してカールツァイスは先ほども述べたようにすさまじいほどのソフトフォーカスです。
こういうソフトフォーカスは人物撮影するときにけっこう役に立ちます。

人物撮影する時はたいてい瞳にピントを合わせる訳ですが、ピント以外の部分がぼけてソフトフォーカスになります。つまりですね、何が言いたいかというと、お肌がアレてたりしてもぼけてソフトフォーカスになれば目立たなくなるということです。


ぼけの量に焦点をあてていろいろ検証してみました。というのも、どのレンズもF値を絞れば描写はシャープになって、あまり描写に違いがなくなるからです。

こうやってあらためて写真にしていろいろ見てみると、自分でもあらたな発見というか、確認が出来て良かったです。

結論から言うとピント以外をぼかしたいのであれば、出来るだけF値の低い(光量の大きい)レンズを買うべきだということです。


ただし、そんな簡単に決めつけれるものではなくて画角と遠近感の問題があります。
ここで16-85mmで撮影した三枚の写真を見ていただきましょう。


標準ズームレンズ 18mm f3.8
ISO感度100
露出時間1/2000 秒
絞りF3.8
焦点距離18 mm
焦点距離(35mm換算時)27 mm

標準ズームレンズ 35mm f4.5
ISO感度100
露出時間1/1600 秒
絞りF4.5
焦点距離35 mm
焦点距離(35mm換算時)52 mm

標準ズームレンズ 50mm f5
ISO感度100
露出時間1/1250 秒
絞りF5.0
焦点距離50 mm
焦点距離(35mm換算時)75 mm


1番目の写真は広角で撮影したもの、2番めはフルサイズ換算およそ50mmの写真の基本の画角と言われている焦点距離、3番めがカールツァイス50mmと同じ画角で撮ったフルサイズ換算75mmの写真。

広角で撮影したものは滑り台の赤い部分が長く伸びて迫力がありますよね?広角で撮影すると遠近感が強調されるからです。そこから焦点距離が伸びていくごとに滑り台の赤い部分が詰まって写っています。こういう風に標準ズームレンズは画角を一本のレンズで自在に操り表現を選択出来るのです。

対して単焦点レンズはたとえF値が低く(光量の大きい)ても、一つの画角、一つの遠近感しか選べないということです。

人それぞれ好みがあります。好きな画角で、そして好きな遠近感のレンズで出来るだけF値が低いレンズを選ぶのが幸せだと思います。ただレンズの値段で高い安いがありますから、その辺りは財布との相談にはなりますが。

ちなみにズームレンズで焦点距離を固定すると、単焦点レンズで撮影するのと同じになりますので、自分の好きな画角はどれか判断出来るようになると思います。
今日はフルサイズ換算50mmに合わせて、一日写真を撮ってみようとか、今日は広角で一日写真を撮ってみようとか、やってみると勉強になりますし楽しいですよ。標準ズームレンズも捨てたもんじゃないんです。


ちなみにレンズの評価を気にする方はよく周辺光量落ちが...とか周辺画質の流れが気になるとか言いますが、フルサイズセンサー用のレンズをAPS-Cセンサーにつける場合は気にしなくていいと思います。

Nikon D800(フルサイズセンサーカメラ)で撮影
カールツァイス 50mm f1.8 D800
カールツァイス50mm F1.8

Nikon D800 APS-Cクロップモードで撮影
カールツァイス 50mm f1.8 D800 クロップ
カールツァイス50mm F1.8

フルサイズで撮影した方は若干写真の4隅が周辺光量落ちしてるかな?というレベルです。
そして、APS-Cクロップモードで撮影したものは、フルサイズ用のレンズをAPS-Cセンサーのカメラにつけて撮影すると、これだけ写る範囲が変わるんだという事を示しています。つまり周辺光量落ちとか、周辺画質の評価など気にしなくていいのです。フルサイズ用レンズの中心付近の解像度の高い所で撮影するんですから。


後もう少しお付き合いください。マクロレンズを紹介しましょう。

カールツァイス 50mm F2 ハーフマクロ
カールツァイス 50mm f2 ハーフマクロ

瞳の直径は1cmしかありませんが、これだけ大写しに出来ます。
このカールツァイスのハーフマクロレンズは等倍撮影ではなく、1/2(0.5倍)になりますが、それでもこんなふうに撮影出来るのは楽しいです。Canonにもコンパクトマクロ50mm F2.5というのがありますね。参考程度に。まあマクロレンズを買わなくても標準ズームレンズにクローズアップフィルターをつけるという手もあります。


今回の検証には関係ありませんが、撮りたかったので...
DSC_8202


記事の右側のカラムには、カメラメーカーやレンズメーカー、カメラバッグメーカーなどのカメラ関連機材メーカーのリンクを貼っていますので、ぜひ参考にしてください。

長文になりましたが、この記事が多少なりともレンズ沼にはまらずに正しい選択が出来るような指針になれば幸いです。


2 件のコメント:

宮田侑弥 さんのコメント...

古い記事にコメント申し訳ありません。
最後の桜ミクの写真に使用したレンズはカールツァイスのレンズですかね?

kiyoshi mikoshiba さんのコメント...

宮田さんコメントありがとうございます!
最後の枯葉と桜ミクが写っている写真は、カールツァイスのマクロプラナー50mm f2ですね。今年の9月にレンズレビューもしておりますので、よろしければそちらも参考にしてください。

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